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プロフィール
げん
げん
山形県鶴岡市生まれ。
札幌、東京と移り住み、放浪の旅をへて
東北回帰~ 奥羽越(えみしの国)を拠点
に危なっかしくも面白く生きます。

2013年11月13日

許されざる者


実はわたし、イーストウッドのオリジナル
『許されざる者』はあまり好きではない。
なのに、何故今回その日本版リメイクを観に
行ったのかというと、どうしても気になる点
があったからだ。それは、明治時代の北海道
が舞台で、アイヌ民族についてかなり突っ込
んだ描写が為されているらしい、という事で
ある。公開前に書店に文庫の小説版が出てい
たので、少し目を通したら、思いの外しっか
りした描きこみが見られた。

さて、実際観てみたら、3年ぶりに観た実写
映画だった事もあってそれだけで感激したが
(笑)これが意外な程、オリジナルより良か
った。
ネット上のシネマレビューなんか見ると、や
はり酷評が多くて、
「この映画が良かったと思った人は、オリジ
ナルを何度も観直す必要がある」
なんて書いてる人もいた。まあ、映画の事が
さぞわかってるんだろうなあ と思うけれど、
わたしは結局難しい事よりは、直感で判断し
てしまうのだ。

実はわたしは、黒澤明の時代劇『用心棒』よ
り、イタリアでリメイクされた西部劇版『荒
野の用心棒』の方がずっと好きだ。こちらも、
リメイクは盗作だ、単なる暴力映画だ、と酷
評が多いのだが・・この『荒野の用心棒』、
実はイーストウッドの初主演で、彼の出世作
である。つまり、黒澤明なくしてイーストウ
ッドはなかったかも知れないのだ。
ところが、今回わたしはそのイーストウッド
の作った映画より、今度は日本が逆にリメイ
クした方が良かった、と言い放つのだ(爆)

何故、今回わたしはオリジナルよりリメイク
を評価したか?
一言でいうと、オリジナルでイーストウッド
が描こうとした様々な要素が、今回あらため
て「しっくりきた」感じがしたという事だ。

オリジナルでは、イーストウッドが主演のみ
ならず監督も担っている。よく知られている
ように、監督・主演が彼の映画製作の基本だ。
しかし『アウトロー』でも思ったのだが、田
舎にひっこんで子供を育てながら畑を耕す、
という姿がどうしても違和感ある、よくも悪
くもかっこ良過ぎる戯画的ヒーロー、それが
わたしにとってのイーストウッドだった。
その同じ役柄を、今回渡辺謙が演じたことで、
ぐっと人間くさくなり、説得力を持って本来
描かれるべきイメージに近づいた気がしたの
である。
イーストウッドはちょっとクセのある脚本や
演出が身上で、『許されざる者』でも超近眼
の拳銃撃ちとか、勇者の伝記ネタを追いかけ
る小説家とか、普通の西部劇には出てこない
ようなものが登場して「?」と思ってしまう
事がある。面白いアイディアだと思うけど、
何だか作品上にしっくりこないのだ。これが、
今回のリメイクで北海道版になったら、見事
しっくりきた。つまり、イーストウッドは日
本的なセンスの持ち主という事なんだろうか?

そして、アイヌ関連なのだが、これは監督が
『フラガール』で知られる李相日(イ サン
イル)で、弱者やマイノリティをしっかり描
こうという姿勢が強く感じられた。
アイヌ語が初めて自然に話された映画ではな
いかと思われ、また描写も声高でなく、これ
見よがしでなく、押し付けがましくなく、ど
こまでもナチュラルである処に高いセンスを
感じ、好感が持てた。

冒頭、佐藤浩一がアイヌのイオマンテ(熊送
り)に関して率直な感想を述べるのだが、こ
れはアイヌ文化への無理解、誤解を表すもの
で、そこんところのフォローはなかった・・
しかしこれは仕方ないかな。
あと、物語の発端となるイタイ暴力事件があ
るのだが、これのイタイ犯人が、なぜか仙台
藩から移住してきた青年であった。まあ、ど
こにでも酷い人間はいると思うけれど、他の
登場人物が必ずしも出身が明記されない中で、
なぜこいつが仙台藩?と疑問ではあった 笑
やはり、仙台に住む身としては気になるよね。
それと、アイヌの青年が小川に小便していた
けれど、アイヌは水に神が宿るとして、水洗
トイレに抵抗を示したお婆さんもいたという
が、どうなんだろう?彼は「和人」との混血
で、しかもグレていた、という事で、納得す
るしかないか。

北海道の風景の見事さには、ただただ脱帽!
『ロード・オブ・ザ・リング』のニュージー
ランドロケにも、決して引けをとらない。
北海道のフィルムコミッションは、映画産業
を現地で育てようという高い野望(笑)を
持っている。今回もクレジットタイトルに
アイヌ協会や二風谷アイヌ博物館の協力も示
され、北海道の威信、今後の展望も踏まえて
製作に臨んだ様が伺えた。

日本映画→イーストウッド→日本映画

ハリウッドとの、という以上に、まさにイー
ストウッドとの、日本映画の60年代から50年
に渡って育まれてきた縁の賜物。それが本作
と言ってさすけねえのではないかと思う。


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