QRコード
QRCODE
庄内・村山・新庄・置賜の情報はコチラ!

山形情報ガイド・んだ!ブログ

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
げん
げん
山形県鶴岡市生まれ。
札幌、東京と移り住み、放浪の旅をへて
東北回帰~ 奥羽越(えみしの国)を拠点
に危なっかしくも面白く生きます。

2014年02月09日

かぐや姫の物語


かぐや姫の物語


先日、この記事書いて、更新ボタン押したら
書いたもの全部消えてしまい・・・もう一度
書く気になるまで、待ってました 苦笑
(だから怖いんだよー紙に書かない書き物は)
『サカサマのパテマ』とは違い、言わずもが
なの超話題作 友人も何人か既に観ていて感
想も聞いた上での鑑賞ですが、むしろこちら
の方が内容は期待していませんでした 笑

実は過去、高畑勲監督作品は、その永遠の
盟友でありライバルである宮崎駿監督の、常
に自分の表現に迷いのないストレートなアニ
メ表現に対し、小難しい事を考えたり、「お
じゃまんが」してみたりと一貫できず迷走し
てばかりいる印象がありました。今回も、絵
柄が従来のセルアニメと違うという事で
「ま~たひねくれてみましたね?」
などと考えてしまいましたが
(なにさまだよ、おれ)
しかし正直いうと、わたし自身、
「どうしてセルでないといけないか」
と日本のアニメ手法に疑問を抱いていない訳
ではありませんでしたし、わたしも最近、イ
ラストをしばしば描く機会ができたので、絵
の可能性を開くという匠の技を見てみたいと
いう気持ちも強かったりしました。

しかし、実際、観て驚きました。瞬時に引き
込まれて、2時間半という長時間を感じない
まま、没頭させられてしまいました。観てい
る間、ずっと感じていたのは、
「これはホルスだ!」
という興奮でした。ある意味、宮崎作品とは
全く違う傑作を生むために繰り返してきた実
験が、今度は見事に結実しているようであり、
「なんでまた、かぐや姫なの?」という疑念
が、「これぞ高畑の原点なのだ!」と確信に
変わるその意外性への驚きだったのです。

竹取物語自体は、摂関藤原家全盛時代に書か
れた、反藤原を表現した作品であるとか、あ
とやっぱり古代にあった宇宙人との接触を語
った(爆)ものだとか、様々な見方がされて
いる謎多き作品?ですが、今作のかぐや姫は
人間の生死を象徴的に表す存在であり、また
本当の人間の生きるべき姿を追い求める
「人外にして人間そのもの」
である強烈なキャラクターです。宮崎駿との
若き日の合作『太陽の王子ホルスの大冒険』
からおそらく二人の間に貫かれてきた労働者
階級的というか、共産主義的というか(いい
意味で)、厳しい環境の中助け合って生きる
人々の目線がここに再現されています。
『ホルス』といえば、二人がアニメーション
に人生を捧げる契機となったヨーロッパなど
海外の当時革新的なアニメ映画 今回実現し
た、かつて誰も見た事のない動画は、宮崎駿
とはまた違う、日本ならではのアニメをまた
世界に示し、ある意味、恩返しをした、と
いう意味で、見事だったと思います。

それと、これまでの高畑作品になかなか見ら
れなかった「最強のヒロイン」が、かぐや姫
という形で結実している事が、何といっても
白眉です 笑 もともと宮崎駿とともに『ホ
ルス』のヒルダや赤毛のアンなど印象的なヒ
ロインを生み出してきた高畑監督ですが、
この作品のかぐや姫は実に魅力的で、宮崎駿
の描く女性像とは何か違うものを感じます。
また声を担当した朝倉あきさんも素晴らしく
て、あのナウシカの島本須美さんに匹敵する
印象を残しました。この人、ちょっと前の超
駄作迷作と記憶されるNHK朝ドラで、「人間
ジュークボックス」なる訳のわからない役を
演じてましたが、先日TVスペシャルの『トリ
ック』では見事な怪演を見せており、すっか
り期待の人です。声といえば、やはり最初に
登場する翁役の地井武男さん 最後の名演に
耳を澄ませました(後になって、途中亡くな
られた地井さんを三宅裕司さんが引き継いで
完成となったと知りました。

問題なのがラストシーン、言わずもがなの月
からのお迎えシーンですが、これは何でも、
竹取物語がもともと仏教説話であるらしい事
から来てるんだろうとは思うのですが、正直
絵的にも音楽的にも、かなりの違和感があり
ました。ある意味むかし沢口靖子さんがかぐ
や姫を演じた映画で、お迎えがまんま「UFO」
!!爆 だった時より、何倍も怖かったとい
うか・・・
だって、あの「人たち」にやって来られたら、
地球征服だって結構わけもないですよね・・
たぶん というのも、やはりあのシーンが
「なんびとたりとも抵抗しきれない」
死 を表現しているからに他ならないのでし
ょう。近年、宮崎作品にも頓に見られるよう
になったとされる死の表現ですが、それを描
く事で観るものに強烈に抱かせる、生への限
りない愛着は生きるという事を改めて捉えな
おさせるもの若い作家にはなかなか到達し得
ない、境地のようなものが、やはりあるよう
な気がしました。

なにかというと、宮崎駿さんを引き合いに出
してしまい抵抗を感じた方もいらしたかも。
ごめんなさいですが、どうしても引き離せな
い二人ですな・・・しかしうらやましい限り
です、こういう生涯のライバルを持つ作家と
いうのは。



同じカテゴリー(えみし気になる世界)の記事画像
最近の漫画よみ状況 笑
中二病について 爆 前編
俺たちはSFの中にいる
最近のゴールデンカムイ
そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その2
そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その1
同じカテゴリー(えみし気になる世界)の記事
 最近の漫画よみ状況 笑 (2019-04-19 19:51)
 中二病について 爆 前編 (2018-09-12 22:02)
 俺たちはSFの中にいる (2018-05-11 00:05)
 最近のゴールデンカムイ (2018-01-28 14:52)
 そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その2 (2018-01-17 15:41)
 そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その1 (2018-01-11 20:04)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。