QRコード
QRCODE
庄内・村山・新庄・置賜の情報はコチラ!

山形情報ガイド・んだ!ブログ

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 1人
プロフィール
げん
げん
山形県鶴岡市生まれ。
札幌、東京と移り住み、放浪の旅をへて
東北回帰~ 奥羽越(えみしの国)を拠点
に危なっかしくも面白く生きます。

2014年02月12日

ピグマリオン とおのれの書き物


このところ、やたら長い文章で不評な
のですが(爆)これは家でパソコン内
蔵の文章作成アプリで書き込んで、後
日外でネットつないだ時にコピーして
更新!てな事ができるようになったた
め。しかしこれから4月にかけて集中
して書かねばならぬ事もあるので、長
文はこれくらいにしておきたい。

仙台の戦後の闇市の名残として味わい
深いというか人間くさい情緒を残す
「壱弐参横丁」(いろはよこちょう)
ここは仙台市内では多分一番美味い
立ち食いそばが食べられる「丸富」さん
が入り口にあり、他にも立ち寄る場所が
多いので馴染み深いところである。

仙台市内では老舗となった書店「金港
堂」がすぐ近くにあり、そばを食べると
ちょっと入って立ち読みする。実のとこ
ろ、個人的には比較的市内では利用し
ていない方なのだが、その昔、佐々木
喜善さんが自分の本をここで確認した
記録が日記に残っていたりもする。
本屋というのは、その規模に関係なく、
見つかる本 つまり自分が目に留める
本が全く違う。たぶん、他の書店では
目に留めなかったかもしれない本と、
ここで出会った。
ジョージ・バーナード・ショー
『ピグマリオン』
これは小説ではなく、戯曲 つまり、
演劇の台本である。

ショーという作家については、初めて
意識したのが、何かのきっかけで菜食
主義について検索した時に、この人に
ヒット(笑)した事からだった。彼は菜食
主義で、こんな面白い発言を遺してい
る。
「わしはもう80歳を過ぎた 充分生きた
のでそろそろ死のうと思って、たぶんス
テーキでも食ったら死ねるのだと思うの
だが、わしには動物の死骸を食う趣味
はない。このままでは永遠に生きてしま
うのではないかと不安で仕方がない。
これが菜食主義 唯一の欠点じゃなあ」

他にも彼には、遅く結婚した妻とは親友
とか同志とかいった関係で、この奥さん、
ショーが同じベッドに入るのを決して許
さなかったので彼は人妻との情事を繰り
返していた、とか変わった話が多い。
一方でナチスのユダヤ人迫害にもつな
がった「優生学」の支持者だったりもした
のだが、若くして街の討論会や街頭演説
に参加したり、ついには政界進出を目論
んだり、社会参加意識の高い作家だった
ようだ。

そんなショーはアイルランドのダブリン出
身。もともとはスコットランド系の家系であ
る。ロンドンに出て活躍するが、おのれの
アイルランド訛りを終生意識したようで、
言語に対するこだわりは彼の重要な個性
となった。それをよく表すのが、本作ピグ
マリオンである。

よく知られている・・かどうかわからないが
『ピグマリオン』はオードリー・ヘプバーン
主演の映画『マイ・フェア・レディ』の原作
である。どうかわからない、というのは実は
かつて映画年間200本観ていたと豪語す
るわたしが、この往年の名作を見逃してい
たからである。ミュージカルである事、内容
的な事(近年では『プリティ・ウーマン』とし
ても再生している)があり名作とはいえ今
ひとつ食指が動かなかったかも知れない。

そのため、この物語自体、当原作戯曲で
初めて堪能する事となる。
物語は、言語・生活習慣の矯正にまつわ
るものである。強烈な「ロンドン訛り」を持つ
貧しい花売り娘イライザを、上流階級の令
嬢に変身させる事ができるか、尊大な言語
学者ヒギンズと紳士ピカリング大佐が賭ける
、という筋。偽りの上流階級での立場と、本
来の貧民層における記憶の間でアイデンテ
ィティの揺れ動くイライザの姿が可笑しくも
愛らしい。一応、喜劇という事なのだが、
そのラストシーン、つまりイライザと、彼女の
「創造主(ピグマリオン)」であるヒギンズとの
関係において原作と映画では大きく異なる
その理由についてはショー自身が「後日譚」
として長々と自論を述べている(映画は彼の
死後のものだが、ラストシーンの改変問題は
当初からあったもののようだ)

ところで、「ロンドン訛り」というのも奇妙な
話で、長くイングランドの首都である大ロンド
ンに訛りが?と思う。東京でいうと、「江戸の
下町ことば」という位置づけだろうか。それに
しても東京だったら、下町と「山の手」にそん
な対立関係は・・・あるの?(よく知らない)
英国は階級による生活習慣・言語の違いが
著しく、上流と貧民層はあたかも別民族かの
ような様相を呈していたようだ。アイルランド
出身のショーにすれば、貧しい労働者階級
は常にシンパシーを持てる人々だったろう。

そういえば、『男はつらいよ』の寅さんは言わ
ずと知れた東京下町の象徴的存在だが、彼
の「車」という姓はもともと「士農工商」階級の
あった時代、卑賤の立場のものだったという。
その寅さんが、下町の香りそのままに日本一
のヒーローになってしまうところ ショーももし
かしたら、英国の真のヒーロー、じゃなくヒロ
インとしてイライザを描きたかったんじゃない
か?などと思ってしまうのだった。

さて今回「戯曲」を手にしたのは、日頃「小説」
のようなものを書いていて、その物語手法に
常に疑問を抱きながら取り組んでいる事も
理由だった。わたしはもともと映画の下地とな
る「脚本」を目指す者だが、書いていても先が
見えない事、たまたま小説手法で書く機会が
与えられている事で、今に至っている。
「戯曲」は言うまでもなく、セリフ主体で書かれ
る事から「脚本」に近い。ただわたしはあまり
舞台、演劇に興味がないため今まであまり
積極的に触れてこなかった。あらためて読ん
でみて、面白いなあ、と感激したのだが、いか
んせん、やはり「演劇」としてではなく、「映画」
として読んでしまう事が多かった。

実は「戯曲」と「脚本」には、奇妙にもそれこそ
芸術界における「階級的」ともいえる格差が
ある。「戯曲」はそれだけで文学として扱われ、
事実バーナード・ショーはその作品でノーベル
文学賞を受賞している。これに対し、映画脚本
は文学として扱われる事がほとんどない。
これは実際、舞台の制作において劇作家に無
断で台本を書き換える事が許されないのに、
ハリウッドでは脚本は常にいじられ書き換えら
れる、と脚本家達が嘆いている事実に裏付け
られる。この違いが何故生じたのかは、よくわ
からないが、ハリウッドという娯楽製造拠点の
そもそもの成り立ちが関係しているのか。

さて、今後どういう形で書いていこうか・・・
定まってはいないが、やっぱりあまり「説明」
したくないな、映像的に語りたいな、とは
思うところだ。



同じカテゴリー(えみし気になる世界)の記事画像
最近の漫画よみ状況 笑
中二病について 爆 前編
俺たちはSFの中にいる
最近のゴールデンカムイ
そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その2
そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その1
同じカテゴリー(えみし気になる世界)の記事
 最近の漫画よみ状況 笑 (2019-04-19 19:51)
 中二病について 爆 前編 (2018-09-12 22:02)
 俺たちはSFの中にいる (2018-05-11 00:05)
 最近のゴールデンカムイ (2018-01-28 14:52)
 そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その2 (2018-01-17 15:41)
 そして感想(いわゆるネタばれあるよ!)その1 (2018-01-11 20:04)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。